第1回発達障害者支援に係る検討会議事録
発達障害者支援法に関して有識者を集めて行った議事録の抜粋です。対象となる疾患の一例としてウィリアムズ症候群について言及されていました。原文は下記ページを参照してください。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/01/txt/s0118-2.txt
(2005年12月)
−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−
05/01/08 第1回発達障害者支援に係る検討会議事録
第1回「発達障害者支援に係る検討会」
日時:平成17年1月18日(火)18:00〜20:00
場所:厚生労働省4F社会援護局第2会議室
【略】
東京都梅ケ丘病院院長の市川委員でございます。
大妻女子大学人間関係学部助教授の内山委員でございます。
明治学院大学心理学部教授の緒方委員でございます。
国立特殊教育総合研究所・教育支援研究部総合研究官の小塩委員でございます。
国立精神・神経センター精神保健研究所知的障害部長の加我委員でございます。
東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野教授の栗田委員でございます。
鳥取大学地域学部教授の小枝委員でございます。
あいち小児保健医療総合センター心療科部長の杉山委員でございます。
社会福祉法人林檎の里あおぞら施設長の藤村委員でございます。
東洋大学文学部教授の宮崎委員でございます。
【略】
栗田座長
たしかにできるだけ従来の法律で援助できなかった人たちをカバーしようという趣旨ですから、診断は大事だとは思いますが、それ以外でも明確な定義があって、現場で使えるようなものであれば、機能的な視点からカバーしていくということになると思います。そういう意味では折衷案的なことは重要かなと思うんですね。
それからこれは私見ですが、学習障害はたしかにDSMとかICDでも結構有病率は高いんですが、そこに書いてあるだけが学習障害かというと、何かすごく極端に狭いなというのはありますよね。ですからこの法律の趣旨から言えば幅広い定義を使っている、もうすでに先行しているものがあるのであれば、それをそういうふうに読み替えればいいというふうに私は個人的には考えていて、そうするとすり合わせという、先程杉山先生が言っていたことがそんなに多分必要はなくなるかなというふうには思いますけどね。
藤村委員
皆さんのおっしゃることはすごくよくわかるんですが、逆に僕が心配しているのは、診断や基準にあてはめていただくのが、このレベルの方たちが日本全国に何千人といらっしゃったらいいんですが、実際に自閉症の診断をするとか、あるいは発達障害の診断をするといった時に、まだまだきちんと診断ができるお医者さんが少ないというのが勉強会でも出た話題だと思うんですね。その時に見過ごされている、抜け落ちていく人たちというのがやっぱりいるんじゃないかなというふうに思うんですが、そういう人たちをこの支援法がカバーするために、ちょっと何らかの措置は必要なんじゃないかなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
栗田座長
法律の条項の中には専門家養成の必要性とか、そういうことはきちっと書かれてありますが、たしかにそう簡単に専門家が増えるわけではないですから、大きな問題だと思います。多分一番大変な問題なのかもしれません。
あとは小枝先生と加我先生にちょっとお伺いしたいんですが、てんかんをお持ちの方についてはどんなふうに、これまで特に勉強会その他でどういう点があったんでしょうか。てんかんでも例えば自閉的な発達障害でてんかんを発症する人の率は非常に高いですから、そういう人であればこの法律の中にそのまま入ってきますし、それ以外の知的障害でてんかんをお持ちの方は知的障害とのつながりかなと思うんですが、別に自閉的でもない、かといって知的な障害があるわけでもないけれども、てんかんでかなり苦労されている方がいらっしゃいますよね。
加我委員
てんかん自体は純粋に医学的な疾患で、診断や外来での治療に関しての福祉的援助はすでに法律によるサービスがあります。それ以外の問題としてはひとつは世の中の考え方というのがありますけれど、あとは合併している知的障害や自閉症の問題がメインになってきます。ここでこの法律の対象に加えてもよいのかもしれませんが当初の範囲ではあまり考えられていなかったことのように思います。数が多い病気ですし、てんかんの種類や状態によっては認知障害が起こることがありますので、そうなった時は支援の対象として考えられるようになったのはよいことだと思います。
小枝委員
例えばてんかんの患者さんだと、外来の通院費なんかは法律でも援助がありますので、ただ、本当に数は少ないんですが、ランドクリフナー症候群という、てんかん失語の子供たちとか、そこまでははっきり定義できなくても、脳波異常が睡眠時にもずっと続くようなタイプの人というのは、やっぱり聴覚認知が弱かったり、逆に視覚認知が弱かったりという、その認知障害としてはかなり特異なものを示すことがあります。そういったものはてんかんプラス何かそういう認知障害がありそうですので、そんなものなんかはその他類似する発達障害というあたりに含めていただくと漏れる人が少なくなるって良いと思います。
加我委員
高次脳機能障害をもっているてんかんのお子さんという考え方ができるようになるのは有り難いと思います。
小枝委員
てんかんだけに限らなくて、脳炎後遺症の人なんかもそうなんですね。外傷、てんかんの特殊なタイプ、それからあとは脳炎の後遺症、その三つぐらいでしょうか。そういったものはやっぱりこういう発達障害、この中に書かれてある以外のその他に類似する発達障害として含まれてくると思います。
杉山委員加我委員
言われてはいます。知的にはあまり問題がない方で、認知障害は起こりうる、特に脳の局在症状がる場合には支援の対象に含められればもちろん有り難いことだとは思います。レックリングハウゼンに高次脳機能障害の頻度が特に高いわけではないと思いますのでレックリングハウゼンだからといってこの法律の支援の対象ということではないと思いますけど。
小枝委員
それに関連していきますと、レックリングハウゼンの人はあまり認知障害で歪みがあるという感じはしないんですが、ウイリアムス症候群の人はあるんですよね。IQを測ると70以上あって、だけど計算のあたりが弱かったり、非常に社会的なところでの問題が逆にあったりとかがありますので、そういったものなんかが含まれてくると、ウイリアムスって結構いますので、含めていただけるといいかなと思います。
宮崎委員
今学校にいる子のLDなんかでは特徴的に出てきますよね。ウイリアムス症候群なんかはね。
小枝委員
認知の歪みということだけで、顔を見ずに認知の所見だけ見るとLDという診断をしてもいいかなというぐらいの子がいます。
宮崎委員
というぐらい学校現場では苦労している症候群の一つですよね。レックリングハウゼン症候群の場合には私は何人か見たんですが、そんなに偏りとかなくて、まあ順調な生育をしているケースの方が多いんじゃないかなというふうに思いますけど。
栗田座長
ウイリアムス症候群の場合は、そのLD的な状態があれば、もともと発達障害に入りますので、カバーできるんでしょうけど、そうでなくてもやっぱり必要になりますか。
小枝委員加我委員小枝委員宮崎委員
言語感覚は優れているんですが、図形認知とかがすごい悪いですよね。
加我委員
詳しく調べていただけると認知障害の様相がよくわかると思いますが。ウイリアムズ症候群では命にかかわる問題である心疾患がメインで、当然心疾患のケアが優先されますので、細かい認知機能を調べないと、心疾患を合併したちょっと変わった知的障害のお子さんという形で見られてしまうのではないでしょうか。こういう法律もきっかけになって、ウイリアムズ症候群のお子さんたちの認知機能をもっと調べて差し上げられるようになればいいんじゃないかなと思います。
栗田座長小枝委員
ダウン症が1000人に一人ですから、4〜5000人ぐらいから10,000人に一人ぐらいじゃないですか。1万人に一人、もしくは2万から5万人に一人という文献があります。
加我委員
ウイリアムズ症候群の方がいらっしゃないかと思って、外来診療でもずっと気にしてみていたのですが、発達障害の外来に直接お越しになる方はそんなにはいらっしゃらないようです。でも心疾患の専門の先生にお聞きすると、ウイリアムズ症候群の方はずいぶんみていらっしゃるようです。実際私も小児心臓疾患病棟でたくさんの患者さんがいらっしゃるという経験もいたしました。
【略】
(問い合わせ先)
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部
企画課障害認定係 西澤
TEL 03−5253−1111(内3022)
FAX 03−3502−0892
目次に戻る