自立への一歩:通勤寮に入る



資料番号2-1-61「自立への一歩:通勤寮の見学」で紹介した立川通勤寮に空きが出るので、2017年6月から入寮できると連絡が来ました。昨年の夏に見学に行ったときには3か月くらいで空きが出るということでしたが、いろいろな事情があった(入寮の優先度が高い人がいたのかもしれません)のでしょう、結果的には見学から約1年が過ぎました。連絡は5月にあったので、それからばたばたと市役所に行って障害福祉サービスを受けるための申請を行って、受給者証を受け取る必要がありました。支援相談員がいるサポート事業者を決め、本人の状況や要望に応じて受けられるサービスを決めていくという内容で、介護保険で介護サービスを受けるのと同じような制度と手続きのようです。申請書を書いたり、本人の面談を行なったりと、結構時間がかかったので、6月からサービスを開始すると記載された受給者証そのものの入手は入寮には間に合いませんでした。入寮後に手にした証書は障害福祉サービス受給者証という名前で、宿泊型自立訓練サービスと言う名目の計画相談支援給付費・障害児相談支援給付費を受給するというものでした。利用者負担金は0円で、三鷹市健康福祉部障がい者支援課が担当です。

入寮当日の6月1日、妻と紘輔の3人で車で寮に向かいました。最初は一か月間の体験入寮なので、布団と少しの服と、物干しや洗剤、歯磨きやふろセットなど身の回りの品を持っていきました。最初に寮長から入寮にあたってのルールなどの説明を受け、契約書にサインをしました。その場で一月分の給料の額を基に、何にどれだけ使うかという予算書も作りました。少しずつでも貯金をすることが目的ですが、イベントやプロレス観戦などの遊びに使う予算が多すぎて、赤字になってしまいました。これまではお小遣いを使いすぎていたことに気付く良い機会でした。このあと、部屋に行って身の周りの品を箪笥や棚に入れました。部屋は2人部屋ですが、同室になる人はとても穏やかで良い方です。ちょっと安心しました。

寮では洗濯、掃除、食器洗いなどを自分でやります。最初は寮スタッフがいろいろと教えてくれます。入寮からしばらくの顛末は、フジテレビのドキュメンタリー、2017年10月8日放送のザ・ノンフィクションに記録されています。録画DVDは資料番号8-X-01のビデオ23で貸出も行っていますので、ご覧になりたい方は貸出を申し込んでください。

1か月の体験入寮が終わる前に、紘輔はそのまま寮に留まることを決めました。このままであれば通算で3年間は寮にいることになります。ネットにつなげるためにWiFiルータを購入してタブレットでLINEやYouTubeを見ることもできるようにしました。テレビも買いました。先日寮のスタッフと親との面談があったのですが、小さな問題はあるものの、それらを解決しながら寮ではうまく過ごせているようでした。貯金もすこしずつですがたまってきたようです。

週末は自宅に帰って外泊をしてもよいのですが、入寮から5か月が経過した最近では、土曜の昼間だけ戻って来て、夕方には寮に帰って夕食を食べるというパターンが増えてきました。自宅に帰ってきて泊まるのは月に2日もない状況です。風呂・トイレや寮歌など寮の共有部分の掃除は当番制ですので、当番と外泊が重なると、その当番を誰かに代わってもらえばよいのですが、当番を「さぼる」ことになるのがいやで外泊をしないようです。また、寮にいると、親に怒られることなく、テレビやゲームを好きなだけやれることが楽しいのかもしれません。いずれにしろ、身の回りの世話という日常生活スキルの面と、独り立ちするという意識の両面で、おおきな新たな一歩を踏み出し、少しは自立に近づいたかなと思います。やってみれば何とかなるものですね。

紘輔がいなくなった自宅は静かで少しさびしさも感じますが、だんだんとそれにも慣れてきました。自分たちも紘輔がいない日常を新たに作りだす必要がありそうです。

(2017年11月作成。杉本雅彦)



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