日本の柴犬3品種における性格関連遺伝子の対立遺伝子頻度の違い



Differences in allele frequencies of personality-related genes in three varieties of Shiba Inu in Japan.

荒堀みのり 1 2, 松本 悠貴 1 3, 秋山 礼良 1, 井上-村山 美穂 2
1)アニコム先進医療研究所
2)京都大学野生動物研究センター
3)麻布大学データサイエンスセンター
Anim Genet. 2025 Jun;56(3):e70012. doi: 10.1111/age.70012.

柴犬は、もともと狩猟犬として使われていた日本の犬種だが、現在ではペットとして広く飼われている。本研究では、狩猟機能を強く保持していると考えられる美濃芝犬と山陰柴犬という柴犬2種について全ゲノム解読を行い、一般的なペットである柴犬と比較した。その結果、3品種の個体群が別々のクラスターを形成していることが示された。2犬種のそれぞれの遺伝子座のFST値を計算し、機能に影響を与える可能性のある有意な違いがあるゲノム領域を特定した。この研究では、犬に関する以前の研究で見つかった性格特性に関連するLRRTM4とOXTRも同定されており、ヒトのウィリアムズ症候群に関連するKIF27も狩猟形質に影響を与える可能性があることが示唆された。この研究は、一般的に飼われているペットの柴犬と比較して、地域固有の柴品種が有するユニークな遺伝的系統に焦点をあて、これらの遺伝的違いが現在の性格特性にどのように影響するかに関してのさらなる研究の基礎を提供する。

訳者注:ウィリアムズノート:「イヌの進化におけるヒトとイヌのコミュニケーションに関連する遺伝子の同定」も参照

(2025年4月)



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