心臓カテーテル
1歳4ヶ月の「小チビちゃん」のお母さんから、心臓カテーテル検査を受けたときの経緯を寄せていただきました。お母さんの子育て奮闘記ブログ「ウイリーちゃんと楽しい仲間たち♪」からの転載です。3泊4日の入院でした。
もう少し大きなお子さん(10歳)のカテーテル検査は資料「3-3-18:大動脈弁上狭窄のカテーテル検査」を参考にご覧ください。
(2006年9月)
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● まず、カテーテル前夜の先生の説明から。
小チビちゃんは入院中は外来とは別の病棟の主治医の先生に主に診てもらってた。(外来の主治医の先生も毎日様子を診に来てくださってた)。カテーテルをしてくださったのも病棟の主治医の先生。入院した日の夜、ダンナ様と私に1時間以上もかけて、丁寧にしかもわかりやすくすべて説明してくださった。
@心臓の仕組み
心臓の中の圧(すべて均一)、酸素量(右心室、右心房など、全身から帰ってきた血液は70%、左心室、左心房など、これから体をめぐる血液は100%)などの話。
A小チビちゃんの今の心臓状態
前に撮った「ヘリカルCT(画像が3Dで見えるように処理されるCT)」の結果や9月1日の「カテ前エコー」を参照に話をしてくださった。
小チビちゃんの心室中隔欠損は最初8mmで閉じる可能性はほとんど無いと言われていたが、カテ前エコーでは1〜2mmにみえたらしい。穴が開いていることによって、心臓内では圧較差や酸素量の変化が出てくるらしい。
肺動脈狭窄(小チビちゃんの場合は心臓から伸びて両肺に行くために分岐した後のところ)はヘリカルCTではだいぶ細めの3〜4 mmに見えたのが、カテ前エコーではやっぱり細そうだったが、実際どうなのか?
大動脈狭窄はヘリカルCTでは見えなかった一部分が狭窄をおこしていないか?
B Aのことを踏まえて、今回のカテーテルではどういう検査をするのか?
- 各部屋、血管ごとの血圧測定
- 各部屋、血管ごとの酸素濃度
- 各部屋、血管ごとの造影
- エコー(いつも以上に詳しく診る)
C今回のカテーテル
全身麻酔ではなく、静脈麻酔(局部)(全身麻酔は自発呼吸無し、吸入麻酔&筋弛緩剤使用、静脈麻酔は点滴から麻酔を入れて眠らせるので自発呼吸) 。
カテーテルは直径2mm×長さ60cmの柔らかいストローのようなものをジョイントしながら使用。そこから造影剤を注入して検査する。足の付け根の皮膚から血管に「シース」という直径2mmかける5cmのストローのようなものを固定して、検査中はそこからカテーテルを出し入れする。(何度も刺しなおししなくて良い、皮膚の傷が広がらないなどのメリットあり)。今回の検査では静脈、動脈両方からカテーテルを入れる。
D考えられる副反応(合併症?)
- 出血(→貧血→輸血)
- 不整脈(カテーテルが心臓の中の壁に当たることによる)
- 感染(手術と同じ清潔度で検査するので大丈夫だとは思うが、口の中にも常在菌がいるからそれによる検査後の風邪症状など)
- 造影剤、抗生剤、麻酔薬によるアナフィラキシーショック(血圧が下がる)
- 血管損傷
その他、私が「これは?」と思ってることも答えてくださった。
- カテのついでに腎臓の造影をしてもらえると聞いたのですが…
→ カテの時には毎回見るようにはしています。ただ、何も無ければ撮影までしてませんが、写真を撮る方向で考えておきます。
- カテ後の外出は?(幼稚園のお迎えなど)
→ 帰ってから(金曜日に退院)土、日曜日くらいは安静にしてもらって、月曜日くらいからお散歩や、近くのお買い物などはいいですよ。
- 麻酔のこと
→ 同僚の小児内科の先生が麻酔担当でついてくださって、状態を見ながら麻酔の量を調節したり、呼吸や心拍などを診てくださるので大丈夫です。
- 麻酔後、悪性高熱がコワイようなことが書いてあったのですが…
→ 悪性高熱を起こしやすいのは全身麻酔の吸入麻酔と筋弛緩剤の薬なので、今回はそれを使わないのでまず無いと思ってください。今回使うお薬で悪性高熱というのは僕は聞いたことがないです。
- 顎の小さい子(ウイリアムズの子は多くは顎が小さい)は何かあったとき気道の確保が難しいと書いてあったのですが…後、気管挿管のときにもともと薄く折れやすい歯が折れないか心配です。プロテクターなんて作ってもらえないですか?
→ 経験上(お医者さんになって10年、ずーっとカテーテルをされていて、ウイリアムズの子のカテも何例かされているそうです!)気管挿管はまずないと思ってもらってもいいです。もし万が一するようなことがあっても歯の事十分気をつけるようにします。
以上のようなことを、本当にわかりやすく、丁寧にお話してくださった。ダンナ様も私もしっかり納得できる説明で、この先生なら小チビちゃんを安心してお任せできると思った
● カテ当日
朝6時までしか水分がとれないので5時半にミルクを飲ます。9時に点滴をするからということだったので、それまでに浣腸とお風呂を済ませた。
9時前、外来主治医の先生が診に来てくださった。「小チビちゃん、がんばろうね」と言いながら聴診器をあてる。
同じ頃、病棟主治医の先生が研修医の先生と一緒に来た。大学病院だから研修医は仕方が無い。でも、あまり良い思い出は…って思っていたら、主治医の先生が「僕と一緒にカテ室に入ってもらうけれど、カテをするのは当然僕で、研修医の先生には器具をとってもらうとか、洗ってもらうとかしかしてもらわないから」とちゃんと説明してくださって安心。
点滴、この病院で点滴をするのに子供を預けると最低3箇所は刺されて帰ってくる…うちだけ、…? と思っていたら!!! 「ごめんね。一回で入ったんだけど、留めるのに時間がかかっちゃって」…スゴイ!よかった!
部屋に帰ると先生が「10時半〜11時には下に下ります(カテ室は地下)。また呼びに来ますから一緒にいきましょうね」と言ってたら…。点滴の機械、スイッチ入ってない!で、先生がセットしてくれた。セットしながら、「ごめんね、今日の看護婦さんもあまり慣れてないから…でも僕がちゃんと監督してるから大丈夫」…。慣れてらっしゃらないのはわかってました…ビミョ〜…。でも先生の一言で安心。
カテ室からお呼びがあって10時45分に入った。先生が抱っこして部屋に入っていった。小チビちゃん、泣かずに台の上に「ちょこん」と座って服を脱がされていた。泣いてくれたらどんなに楽だったろう…。何もわからない、それがかわいそうに思った。丈夫に産んであげれたらこんなことにならなかったのに…涙をこらえて見送った。
だって、小チビちゃんが頑張るのに泣くわけにいかない!
待ってる間にさっとお昼を食べて、その後ひたすらカテ室の前で待ち続けてた。
1時半頃、小チビちゃんが黄色い移動用のベッドに乗って出てきた。先生が「もっと早く終わると思ってたんだけど…麻酔に強い子だったみたいで途中2回も起きちゃって、麻酔を多めに使ってるから起きるのが少し遅くなるかも…。(説明でこんなこともあると聞いてました)」。足に砂のうを乗せて動かないようにされて。いつもの寝顔で寝ていた。でもちょっと疲れたような顔だった。
部屋に帰ってからが大変! 足を動かすとカテーテルを刺した後から出血して止血が大変ってことで動かさないように仰向きで寝かせてとのこと。…ムリ…。小チビちゃん、NICUにいるときからうつ伏せで寝るクセが付いてるので仰向けムリ!
しかも1時間くらいで起きてきたから大変! ダンナ様と私で泣き叫ぶ小チビちゃんを押さえつけた。この時が一番悲しかった…。小チビちゃんのためとはいえ、こんなに訴えるように泣き叫ぶ自分の子を押さえつけるなんて…ごめんね、ごめんね…。
看護婦さんが先生に連絡してくれてしばらくして、汗を拭きながら先生が来てくれた。「ごめんね、他の子のカテしてて…」。
小児科医が減る理由がわかったような気がした忙しそう…。先生が眠くなる座薬を入れてくれて、「足をまっすぐにして、横抱きするなら抱っこしてもいいよ」って言ってくれたのでず〜〜っと、ひたすら抱っこした。途中、晩ご飯を食べる間、15分くらいダンナ様に代わってもらった。エレキバンを買ってきてもらって、貼りながらひたすら抱っこした。ダンナ様がベッドに置いたら寝たので、その間にダンナ様は大チビちゃんの待つお姑さん宅へ帰った…。帰ってすぐまた寝返りしそうになったのでまた抱いた。その後は抱っこ、置く、抱っこ、置く…。
夜、かなり疲れた頃、看護婦さんが「お母さん、シャワー入って来たら?代わってあげるし。このままやとお母さん参ってしまうわ」って言ってくれたので甘えることにした。出てくるとベッドに寝かしつけてくれていた。
夜中、やっぱり抱っこと置くの繰り返しだったけど、途中休ませてもらったので、本当に助かりました!本当に感謝してます!
次の日には普通にミルクを飲み、普通に遊び…。点滴も取れて…。昼過ぎには何事も無かったかのようにプレイルームで遊んでいた。しかも!!!初!1人立ち!!! ほんの少しだけ…。でも何ももたず、自分の小さなカワイイ足で立った! 本当に、昨日カテーテルしたとは思えない! 今の医学と、小チビちゃんの体力に感心!!!
● 次の日はもう退院。
退院の前にカテの結果を聞いた。先生がパソコンにCDを入れて、撮影した映像を見せてくれながら説明してくださった。まず、思っていたよりとても良い状態だったと言うことを教えてくださった。
心室中隔欠損
やっぱり影響ですこ〜し左心室が小さく、右心室が大きくなっていたけれど気にする程度ではないとのこと。穴から漏れている血液もほんの少しで問題はほとんどないとのこと。
大動脈狭窄
ウイリアムズの子供独特のくびれた形はあるものの、問題はないとのこと。今後狭窄が進むことは?と聞くと「そういうお子さんはもともともっとキツイ狭窄をもってることが多いです。小チビちゃんの場合は大丈夫だと思います。経過もエコーで見ていればわかる範囲なので、経過観察でいいですよ」
末梢性肺動脈狭窄
前のヘリカルCTでは本当に細かったようだけど、今回はあと1mm太かったら体重的に許容範囲なんだけど…という感じらしい。ただ、圧較差が20〜30(50で手術を考える、70で手術しましょう!というものみたい)だったので今回、手術適用とはならないみたい! ヨカッタ〜!!! ただ、成長して体が大きくなると共に肺動脈も大きくなったら問題はないけれど、肺動脈はそのまま…ということだと、話が変わってくるかも…?とのこと。経過を診ていく必要があるとのこと。でも今回手術にはならないので本当によかった!!!
腎臓造影
お願いしてあった腎臓も見せてもらった。どうやら片方の腎臓が大きくなっているらしい…。ここに来て新たな問題???もういらんよ…。尿路感染を繰り返したりしているとこういう風になることもあるらしいけど…。よくわからいみたい…。でも、そんなに急ぐようなものでもなさそうなので、次の検診までに小児内科のカンファレンスで今回のカテにいろんな先生からの意見をもらうので、その時に腎臓のことも話し合われるとのこと。今後の治療方針も含めたもっと詳しい結果もそのカンファレンス後の2週間後のいつもの外来で聞けるとのこと。小チビちゃんの診てもらってる小児内科は腎臓の専門医もいらっしゃるらしいのでその先生に聞いておきますとのこと。ちょっと気になるけど、ま、急がなくて良いならそれでよし。
今回聞いたのはかなり簡単に書いたけど上記のようなものだった。とりあえず、当分は普通に生活して良いし、来年はみんなとプールに入れそうだしそれで十分。今まで(今でも)丈夫に産んであげれなかったことを本当に悔やんでる私にとって本当に嬉しい結果だった。とても救われた気分。小チビちゃん、本当にヨカッタ!!!
長々と書いたけど、本当に本当にかなりかなり簡単に書いた。全部書くと何日かかるか…。もし、間違ってたり、ギモンに思ったことがあったときにはコメントください!
今回、今回だけでなくいつも、お世話になってる方々に本当に感謝しています。支えてくださってありがとうございます!小チビちゃんのおかげで皆さんにお会いできたこともとても感謝しています!私も小チビちゃんもいろんな人の支えになれたらいいなぁって思います。頑張るのでこれからもどうぞよろしくお願い致します
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