Williams症候群に合併した慢性腎不全の1例



この論文は、(顔貌から疑われFISH法でWilliams syndromeと確定診断された後、高カルシウム血症と腎不全と気づかれた女児)と同じ症例に関する報告であると思われる。

(2008年12月)

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川崎達也, 和田尚弘, 山内豊浩, 松下香子, 北山浩嗣
静岡県こども病院腎臓内科
日本小児腎不全学会雑誌:ISSN:1341-5875:Vol.26, Page122-123 (2006.08.31)

Williams症候群は,妖精様顔貌,大動脈弁上狭窄および精神発達遅滞を特徴とする症候群である。今回,本疾患による特発性高カルシウム血症から腎石灰化を来たし,慢性腎不全に至ったと思われる症例を経験したので報告する。症例:2歳4か月の女児。1歳8か月に特異顔貌,体重増加不良を主訴に精査を受け,Williams症候群と診断された。検査の結果,著明な高カルシウム血症,貧血,高尿酸血症,腎不全を認めた。腹部単純CTでは両腎乳頭部石灰化を認めた。Williams症候群による特発性高カルシウム血症と診断した。利尿により徐々に血清カルシウムは低下し,血清Crは下げ止まり,保存期腎不全と診断した。その管理として,血清カルシウムとリンの双方を抑制する必要があり,栄養管理に難渋した。腎不全用経腸栄養剤ではリンの上昇は抑制できるものの,カルシウムは上昇傾向となるため,低カルシウムミルクを使用した。低カルシウムミルクのリン含有量は高く,炭酸カルシウムも使用できないため,塩酸セベラマーでリンの吸収を抑えた。



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