Williams症候群に合併する頭蓋骨縫合早期癒合症の臨床像
竹本 理1)、山田 淳二1)、千葉 泰良1)、山本 祥太1)
1) 大阪府立母子保健総合医療センター脳神経外科
小児の脳神経 Vol41、No1、2016、165ページ(第44回日本小児神経外科学会 抄録)
目的:Williams症候群(WS)は、特徴的な妖精様顔貌・精神発達の遅れ・大動脈弁上狭窄および末梢性肺動脈狭窄を主徴とする心血管病変・乳児期の高カルシウム血症などを有する隣接遺伝子症候群で難病指定されている。WSに頭蓋骨縫合早期癒合症(狭頭症)が合併することは、すでに、当院遺伝診療科から報告されている。今回は、症候群性狭頭症(SC)としてのWSを、脳神経外科的観点からまとめた。
症例と結果:対象は、当科で外科的治療を行ったWS 6例で、過去の狭頭症の4.2%にあたる。当科のSC 33例の中では、Pfeiffer症候群とともに6例(18.2%)と一番多い。WSでは、他のSCと違い、全例が矢状縫合の単独早期癒合、いずれも長頭で、指圧痕がかなり強い。頭痛/不機嫌で2例が、小頭で1例、WSの検査で3例が発見されている。術前のK式評価では、54.8±15.5と中等度の発達障害をしめした。手術時年齢は4.8%±1.3年と少し高く、両側頭頂骨を骨延長法で拡大した。いずれも末梢性肺動脈狭窄を合併し、さらに、AS 2例、VSD 1例あったが、手術に問題はなかった。
結論:症候群候性狭頭症としてのWSは、矢状縫合の単独早期癒合で長頭をしめす。認知度が低く、発見が遅れる傾向があると考えられる。WSの中で長頭を含む頭蓋変形がある場合は、3D-CTの撮影が望ましい。WSは頭蓋内圧が高く発達障害があるため、積極的治療対象と考えている。
(2017年1月)
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