ウィリアムズ症候群患者による人種に関する神経処理:彼らは他人種効果を示すか?(そしてそれがなぜ重要か)
資料番号3-9-225:「ウィリアムズ症候群の子どもは性別に関する固定観念を持つが人種に関しては持たない」を参考にしてください。
(2011年10月)
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Neural processing of race by individuals with Williams syndrome: Do they show the other-race effect? (And why it matters).
Fishman I, Ng R, Bellugi U.
a Salk Institute , La Jolla , CA , USA.
Soc Neurosci. 2011 Oct 25. [Epub ahead of print]
ウィリアムズ症候群は遺伝子疾患であり、認知の視空間分野において重篤な障害があるにもかかわらず、顔認識に比較的熟達しているという過度な社会性を伴う。このような一貫した表現型特徴と比較的均一なウィリアムズ症候群の遺伝子型が、ウィリアムズ症候群を遺伝子型−表現型、特に社会的行動に関しての関連を調査するヒトの有力なモデルにしている。ウィリアムズ症候群患者には人種バイアスや人種に対する固定概念がみられないことを示唆する最近の論文をフォローし、本研究は異なる人種の顔の知覚の神経相関を調査しウィリアムズ症候群患者と正常に発達した対照群と比較した。コーカサス人のウィリアムズ症候群患者と対照群の被験者に対して、自分と同じ人種(白人)と異なる人種(黒人)の顔を用いて性別識別課題を行なってもらい、同時に事象関連電位を記録した。対照群の被験者は前回の研究の結果と同じく、異なる人種の顔の場合に顔を見せた直後の200ミリ秒後に大きな事象関連電位振幅を記録したが、ウィリアムズ症候群は対照群とは違っていた。これらの結果から、対照群と同じくウィリアムズ症候群患者の場合も、顔を見せてから115ミリ秒後に始まる処理の比較的初期段階では、自分と同じ人種と異なる人種の顔認識を異なる方法で処理していることを示している。全体的にみて、これらの結果はウィリアムズ症候群患者の顔認識の神経処理は、認知処理の初期段階では人種毎に加減されていることを示唆しており、彼らが人種には感受性がないという主張は再考を求められる。
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