Williams症候群の児童にみられる感覚処理の問題と行動特性に関する検討
松島 佳苗1)、齊藤 景子2)、粟屋 智就2)、加藤 竹雄2)、平家 俊男2)、富和 清隆2,3)、加藤 寿宏1)
京都大学大学院医学研究科人間健康学系専攻1)
京都大学医学部付属病院小児科2)
東大寺福祉療育院3)
脳と発達 第47巻 学術集会号 S318ページ(2015年5月)
【はじめに】近年、Williams症候群の半数以上に感覚処理の問題があることが報告されている(John AE、2010)。本研究では、Williams症候群の感覚処理の問題と生活場面における行動との関連について検証を行った。
【方法】対象は、本研究に対して保護者の同意が得られた3-12歳のWilliams症候群の児童31名(男児14名、女児17名)であった。感覚処理に関してはShort Sensory Profile(SSP)、行動に関してはChild Behavior Checklist(CBCL)を用い、保護者に記入を依頼した。本研究ではWigham S(2014) らの研究を参考に、SSPの4項目「触覚過敏」「味/においの過敏」「動きへの過敏」「視覚/聴覚過敏」の粗点の合計を「過剰反応性」とし、「低反応/間隔の探究」の粗点を「低反応性」とした。統計解析では、CBCLの「総得点」「内向尺度」「外向尺度」のT得点とSSPの粗点に関して、Spearman順位相関係数を算出した。本研究は京都大学医学部の倫理委員会の承認を得て実施された。
【結果】CBCLの「総得点」は、「過剰反応性」(ρ=-0.47、P=0.018)、「低反応性」(ρ=-0.56、P=0.002)ともに有意な相関を示した。また「内向尺度」に関しても「過剰反応性」(ρ=-0.45、P=0.018)、「低反応性」(ρ=-0.51、P=0.006)の両者で有意な相関が示された。しかし、「外向尺度」では「過剰反応性」、「低反応性」ともに統計学的に有意な相関は示されなかった。
【考察】Williams症候群の感覚処理の問題は、「内向尺度」で示される不安、抑鬱やひきこもり等の行動と関連が強いことが考えられる。一方、「外向尺度」で示される非行的行動や攻撃的行動とは関連性が低いことが示唆された。
(2016年5月)
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