ウイリアムス症候群における聴覚過敏、恐怖、認知行動に関するアンケート検査報告
加藤竹雄1)、中田昌利1)、井出見名子1)、吉田健司1)、齊藤景子1)、松島佳苗2)、粟屋智就1)、加藤寿宏2)、平家俊夫1)、富和清隆1,3)
京都大学医学部附属病院小児科学 1)
京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 2)
東大寺福祉療育病院 3)
脳と発達 Vol47 Suppl S319ページ 2015年5月
【諸言】
ウイリアムス症候群は7番染色体長腕の微細欠失症候群(7q11.23)で、超社会性など特徴的な発達特性をもつ一方、聴覚過敏や強い不安・恐怖などを持ちやすい傾向にある。今回我々は、ウイリアムス症候群患者に対して神経心理検査を行い、その性別、年齢での変化について検討を行ったので、ここに報告する。
【対象・方法】
京都大学付属病院、大阪市立総合医療センターに受診した臨床的、遺伝子解析などによりウイリアムズ症候群と診断に至った5歳以上の症例を対象とした、神経心理検査はHyperacusis questionnaire(HQ)、Fear Survey Schedule for Children Revised(FSSC-R)、Child/Adult behavior checklist(CBLS/ABCL)を患者の両親に記入してもらい、回収したものを解析した。年齢は「就学前」「小学低学年」「小学高学年」「中学生」「高校生・成人例」に分けて評価を行った。
【結果】
神経心理アンケートは47例(男性15名、女性32名)回収した。HQ、FSSC-R、CBLS/ABCLにおいて性別における差異は認められなかった。年齢別ではHQでは「中学生」FSSC-Rでは「小学低学年」が最も問題が強い傾向であった。CBLS/ABCLにおいて、総合点は「小学高学年」であった。外在性障害を示す外向尺度は低年齢で強く、年齢とともに軽減するが、内在性障害を示す内向尺度は年齢とともに強くなる傾向が認められた。
【参考】
今回の研究において、小学高学年から中学生の期間で最も多くの問題を抱えていることが示された。今回は他の疾患などとの比較検討を行っていないことから、これがウイリアムス症候群に特有な現象かどうかは分からないが、この時期において、教育や療育などの方向性の再評価、再構築が必要であると考えられた。
【ウィリアムズ ノート 注】 本論文は資料番号3-9-325の「ウイリアムズ症候群における聴覚過敏と恐怖・行動障害との関連性について」と関連がある。
(2016年7月)
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