ウィリアムズ症候群患者の糖代謝異常:コホート集団の5年間にわたる経過観察
Impaired glucose metabolism in subjects with the Williams-Beuren syndrome: A five-year follow-up cohort study.
Lunati ME(1), Bedeschi MF(2), Resi V(1), Grancini V(1), Palmieri E(1), Salera S(3), Lalatta F(2), Pugliese G(4), Orsi E(1).
Author information:
(1)Diabetes Service, Unit of Endocrinology and Metabolic Diseases, IRCCS "Ca Granda-Ospedale Maggiore Policlinico" Foundation, and Department of Medical Sciences, University of Milan, Milan, Italy.
(2)Unit of Medical Genetics, IRCCS "Ca Granda-Ospedale Maggiore Policlinico" Foundation, Milan, Italy.
(3)Direzione Sanitaria di Presidio, "Ca Granda-Ospedale Maggiore Policlinico" Foundation, Milan, Italy.
(4)Diabetes Unit, Sant'Andrea Hospital, and Department of Clinical and Molecular Medicine, "La Sapienza" University, Rome, Italy.
PLoS One. 2017 Oct 20;12(10):e0185371. doi: 10.1371/journal.pone.0185371. eCollection 2017.
目的:
ウィリアムズ症候群は成人期の初期に糖代謝異常を合併する。しかし、糖代謝異常の病態生理は、ベータ細胞の機能不全やインスリン感受性異常の影響を長期的に調べた研究がないため良く分かっていない。本研究はウィリアムズ症候群成人における糖代謝異常の発生とその基礎的メカニズムについて調査することを目的とする。
手法:
この観察的長期的(5年間)コホート研究には三次医療機関に受診している31人のウィリアムズ症候群患者が継続的に参加した。経口糖負荷試験を毎年実施して患者を正常か糖代謝異常かに分類した。糖代謝異常には、空腹時血糖異常、 糖耐性異常、糖尿病が含まれ、インスリン分泌や感受性の代替的測定値を計算した。
結果:
糖代謝異常患者は観察開始時に18人(58.1%、糖尿病は3人)、経過観察終了時には19人(61.3%、糖尿病は5人)であった。しかし、13人の患者が糖恒常性のカテゴリーがどちら方向(8人が発症、5人は回復)にも変化し、18人は変化しなかった(8人は発症なし、5人は回復せず)。糖代謝異常や糖尿病の新規発症は100患者年あたりそれぞれ11.1%と2.53%であり、非薬理学的な対処が行われる。コホート集団全体として、さらに発症者のような高次範囲において、初期のインスリン分泌やインスリン感受性に関する指標は観察開始から経過観察終了までの間で有意に減少し、同時に経口素因指数(oral disposition index)とインスリン分泌/感受性指数2(insulin secretion-sensitivity index-2)の減少、インスリン抵抗性のレベルに至る程度の補償的インスリン分泌がみられた。観察開始時に発症を予見するような測定値はなく、これはインスリン分泌/感受性指数2が観察開始時から変化していることと関連している。糖恒常性が正常な患者と比較すると、糖代謝異常の患者はインスリン感受性異常がある一方、インスリン分泌は空腹時血糖異常と糖代謝異常の両方を有する患者および糖尿病の患者だけで低下が見られた。
結論:
糖代謝異常の発症はウィリアムズ症候群の若い成人で高くなり、早期のスクリーニングと適切な時期における療法の必要性を示唆している。典型的な2型糖尿病と同じく、インスリン感受性異常とベータ細胞機能不全を起因として糖代謝異常と糖尿病を発症する。
訳者注:資料番号3-X-123「ウィリアムズ症候群の若い成人集団における糖尿病と糖尿病前症の罹患率」と関連する研究と思われる。
(2017年10月)
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