珍しい合併症を持つウィリアムズ症候群の21才の女性の突然死
Sudden death of a 21-year-old female with Williams syndrome showing rare complications.
今宿 晋作, 林 鐘声, Kuriyama K, Hibi S, Tabata Y, 東道 伸二郎
京都府立医科大学 小児内科学教室、附属小児疾患研究施設
Pediatr Int 2000 Jun;42(3):322-4
ウィリアムズ症候群の典型的な特徴として大動脈弁上狭窄(SVAS)・妖精様顔貌・精神遅滞
がある。眼や腎臓の異常も報告されている。ウィリアムズ症候群の病因として、片方のエ
ラスチン遺伝子を含む欠失が最近になって患者のおよそ96%から発見されている。ウィリア
ムズ症候群に共通的に見られ最も重要な循環器系疾患は大動脈弁上狭窄であり、これまで
に報告されているその他の異常も、そのほとんどが腕頭動脈・腎動脈・頚動脈などの動脈
である。ウィリアムズ症候群はエラスチン生産の異常が原因であると言う病因論的観点か
ら見て、この症候群は「エラスチン動脈疾患(elastin arteriopathy)」と分類されてきた。
これまでにもウィリアムズ症候群における突然死が
報告されている。本稿では典型的なウ
ィリアムズ症候群患者である21才の女性の突然死を報告する。彼女は幼少の頃から、おも
に大動脈弁上狭窄・巨脾症を伴う門脈異形成・糖尿病を中心に本院で診察を行ってきた。
過去の文献を調査したところ、これらの合併症はウィリアムズ症候群ではみられず、また
成人してから突然死したケースでも報告されていないので、症例報告を行う価値があると
判断した。
(2000年7月)
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