ウィリアムス症候群における成人期の現状:親とスーパーバイザーへのアンケート調査
鬼頭 由子1)、松田 浩一2)、岡崎 伸3)、岡田 眞子3)、富和 清隆13)
1) 京都大学大学院医学研究科遺伝カウンセラー
2) 京都大学医学科
3) 大阪市立総合医療センター小児神経内科
日本小児科学会雑誌 第114巻第2号 191ページ
ウィリアムス症候群は、妖精様顔貌・知的障害等を特徴とする。7番染色体微細欠失による隣接遺伝子症候群である。英国の成人期研究では交友関係の問題や健康管理の不十分が指摘されている。日本での成人期の生活に焦点を当てた研究を行った。
【目的】
【対象と方法】
京都大学附属病院遺伝療育外来または大阪市立総合医療センター神経遺伝外来に通院歴のある18歳以上の患者34名の親と作業所などでのスーパーバイザー(SV)を対象に、就労・医療・日常生活について、親102項目、SV40項目の郵送による記名式アンケート調査を行なった。
【結果】
25名の親(73.5%)と14名のSV(41.2%)より回答を得た。患者の平均年齢は25.3歳(19歳〜36歳)。全員が家族と同居。80%は作業所などで就労し、仕事への姿勢や内容には、64%の親と71%のSVが概ね満足していた。自分の名前が書ける80%、簡単な文章を書ける52%、計画的なお金の使用が難しい75%、休日に一人で外出できる40%、同年代の友人を作るのが難しい80%、雷などへの音過敏72%、不安があると何度も確認する44%、精神科等への受診16%。SVの93%は情報不足だと感じていた。
【考察】
全員が家族と同居するも、将来はグループホーム等の利用を考慮していた、80%は作業所等で就労するが、給料や今後の雇用に不安・不満を感じていた。小児期同様、音過敏や不安症はあるが、英国に比べて精神科診療を要する人は少ない。成人期の障害特性に関する親や就労現場の更なる理解が必要である。
(2010年7月)
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