自立への一歩:通勤寮で暮らす



立川通勤寮に入寮して1年が経過しました。これまでの経緯は「自立への一歩:通勤寮の見学」と「自立への一歩:通勤寮に入る」をご覧ください。寮生活にも慣れて、仲の良い友達もできたようです。外泊許可が出るのは一か月に二日だけということもあり、最近は自宅にあまり帰ってこなくなりました。休日の日中は自宅に帰って来ても、夕食を寮で食べるために夕方には寮に戻ってしまい、自宅に泊まらない月もあります。3週間くらいはまったく顔を出さないこともあります。一度寮で部屋替えがあり、同室になる寮生が変わりましたが、うまくやっているようです。

寮で仲の良い友達と筋トレを初めたようです。きちんとカロリーと栄養が計算された食事を朝晩とっていることとも相まって、体重が6から7キロ減りました。10年前の18歳の頃の体重までには戻っていませんが、見た目にもおなかがへこんで普通の体形になりました。休日にはいろいろな団体が主催するスポーツ大会があり、寮でチームを組んで出ています。心臓が悪いので、駅伝やマラソンのような持久力を必要とする大会には出られませんが、ティーボール(ソフトボール形式の球技ですが、バッターはティーという柱上の置台の上に置いたボールを打つところだけが異なる)やバスケットボールには参加しています。バスケットボールシューズも立川駅の近くの店でお小遣いを使って買ったようです。お小遣いといえば、この一年の間に東京や三浦半島で開催されたウィリアムズ症候群の子どもたちのための音楽キャンプにも参加していますが、どちらも参加費として2〜3万円かかるので、給料とボーナスをやりくりして自分で払っていました。

今年の3月で、働き始めて10年になりました。親としてはあっというまでしたが、本人も短かったと感じているようです。この職場は勤務場所が時々変わります。つい最近も移動があり、通勤経路を変更して定期を買う必要がありました。自宅にいるときは、親が買っていたので、購入に問題はありませんでしたが、今回は寮から通勤している週の中で月が替わり、通勤経路を変更をするのでそうもいきません。モノレールと電車を乗り継ぐ定期を持っていましたが、両方とも乗車区間を変更する必要がありました。使用中のパスモ(交通系ICカード)では現定期が有効な間に新たな定期を付加することができません。勤務先の方の指示で、次の職場への新たな定期は旧式の磁気カードで購入しておき、パスモの現定期が終わった時に、パスモに移し替えることにしたようです。勤務先の方の支援で磁気カード定期を買いました。その話を聞いたときに、磁気カードだと無くしても再発行できないという不安が頭をよぎりました。働き始めた頃に、バス用の紙の定期を2度ほど無くしたことがあったからです。本人にも「この定期をなくしたら再発行ができないので、作り直すのに高いお金がかかるよ」と伝えたところ「わかった」とは言いました。月が替わって最初の出勤日の通勤はうまくいったようです。その日のうちに定期をパスモに交換しておけばよかったのでしょうが、自分ひとりでするのは心配だったことと、翌日の金曜日の夜は自宅に帰ることになっていたので、そのまま磁気カードの定期を使って自宅に帰ってから、土曜日にでも親と一緒に交換に行くと考えたのでしょう。悪い予感があたってしまったようで、その金曜日の朝、本人から自宅に半分泣きながら電話がかかってきました。「モノレールを降りようとしたら定期がない。なくした」と。よく聞いてみると、モノレールには乗れているので、その時点で定期はあったけれども、モノレールの中か、駅構内でなくしたと思われました。電話で、「駅員には無くしたことを伝えて改札を通してもらい、次に乗る電車はお金を使って切符を買って会社に行きなさい」と言いました。会社にも定期をなくしたことを伝えておいたところ、遅刻せずに会社にはついたと会社の人から連絡がありました。夕方になって、モノレールの駅から「定期を預かっている」と電話がありました。どうやら、モノレールに乗る側の駅で改札機に定期を入れたあと、取ることを忘れたようです。普段使っているパス<モ定期ならタッチするだけなので、慣れていない磁気カード定期を使っていてうっかりしたのでしょう。いずれにしろ定期が発見されたので、3か月分の定期代を個人負担せずにすんで助かりました。今考えると、新たな定期も別の新しいパスモで購入しておけばよかったと思います。パスモの発行に際してデポジットが発生しますが、古いほうのパスモを解約すればデポジットは戻ってくるし、定期の移し替えも不要だし、無くしても再発行してもえます。一人暮らし(完全ではありませんが)ではいろいろなことが起こるなと感じました。

通勤寮は宿泊型自立訓練の機能を提供していますが、それを補完すべく創設された「通勤寮連携型グループホーム」の制度に基づき、通過型グループホーム(地域未来塾)を近所に建設中だそうで、まもなく完成するとのこと。通勤寮に入れるのは2年(最長3年)ですが、その期間の一部を、このグループホームで過ごすことも可能とのことです。グループホームで暮らすための準備として、ここでしばらく過ごすことも、これからの選択肢の一つかなと考えます。

(2018年7月作成。杉本雅彦)



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