自立への一歩:グループホームを探す



紘輔が通勤寮に入寮してから1年9か月が過ぎました。入寮の顛末は「自立への一歩:通勤寮に入る」「自立への一歩:通勤寮で暮らす」をご覧ください。原則としてこの寮で暮らせるのは2年間です。寮にいる間に一人暮らしの訓練を積み、いずれグループホームなどに移行することが期待されています。そろそろ紘輔も「次」を考える時期にきました。

寮がグループホームを紹介してくれますので、紘輔は半年前から2か所のグループホームの見学に行きました。会社への通勤が不便だったり、都心に近いところにあるので料金が高かったりということで入所先の候補にはなりませんでした。

今月になって3か所目のグループホームを見学できることになり、紘輔と妻の3人で訪問しました。場所は東京の西部で、都営住宅やマンションの部屋をグループホームとして提供しています。マンションの部屋を利用しているホームは、部屋もきれいだし、食事も材料の配送サービスに従って献立が立てられていてなかなかよさそうでした。料金も高くはなく、さらに公的補助を受ければ、部屋代・光熱費・共益費・食事代(朝・夜)を含めて障害年金で賄えるレベルです。

理事長がご自分の娘さんのために開設したグループホームで、同じマンションの別の部屋(ここが食堂にもなります)に娘さんが入所しています。これもこのグループホームの安心材料の一つです。グループホームの近くにはディスカウントスーパーもあり、ちょっとした買い物もできます。

職場への通勤には、バス+モノレール+電車と乗り継ぎが必要で、通勤寮からの通勤と比べると、30分間乗車するバスに乗ること増えるので、これがマイナスポイントです。ただ、以前自宅から通勤していた時には、同じ程度の距離のバスも利用していたので問題はないでしょう。

本人も気に入ったようなので、一週間の体験入所を行うことにしました。体験入所に関しても、障害福祉サービスの対象(共同生活援助(グループホーム))になることから市役所やサポート団体で手続きをし、障害福祉サービス受給者証の内容を変更しました。支援のおかげで体験入所の間の部屋代は無料、食事代のみの自己負担です。

数日前の土曜日に、通勤の練習のために、バスに乗ってモノレールへの乗換駅まで往復してみました。乗換駅は大きな駅なので、バス停を見つけるので少し苦労しましたが問題はないでしょう。

翌日の日曜日に入所してから3日ほどたちましたが、朝のバスには座れるようで通勤も問題なく、食事もおいしいようです。週末には体験入所を終えて、通勤寮に戻ります。本人が「ここがいい」と言えば、このグループホームに入所することになるでしょう。病気などになって要介護にならなければ、入所期間に制限はありませんので、居住環境に関しては一安心です。



今回通勤寮からグループホームの紹介受けて感じたことがあります。通勤寮は毎年寮生をグループホームに送り出していることから、たくさんのグループホームとつながりがあり、それぞれの良いところも良くないところも理解していると思います。今回グループホームの見学に立ち会ってくれた通勤寮のスタッフにいろいろ質問しましたが、専門家の立場でアドバイスをしてくれました。とても参考になるとともに、我々では「これはできないこと」だとも感じました。

ネット社会になり、ネットを通じて個人でグループホームを探したり、口コミ情報を得ることは可能ですが、ネットには出てこない重要な情報もたくさんあるでしょうし、公正・公平かつ客観的な評価を得られるかどうかは定かではありません。その点で「経験豊かな専門家」の存在は重要で、この部分は個人では太刀打ちできないと思います。

過去にも、療育環境へのコンタクト、学校選び、就職先の選定などの際にもこのことは実感しました。障害を持つ子どもを育てるにあたっては、公的あるいはNPOなどの支援団体、障害者の教育や就職に力をいれている教育機関などと密接な関係を構築しておくことが大切だと、改めて感じました。

(2019年3月作成。杉本雅彦)



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