ウィリアムズ症候群責任領域にあるトランスポゾンが補助犬の社会的行動と関連している



Transposons in the Williams-Beuren Syndrome Critical Region are Associated with Social Behavior in Assistance Dogs.

Gnanadesikan GE(1)(2)(3), Tandon D(4), Bray EE(5)(6)(7)(8), Kennedy BS(6), Tennenbaum SR(4), MacLean EL(5)(9)(7)(8), vonHoldt BM(4).
Author information:
(1)School of Anthropology, University of Arizona, Tucson, AZ, 85721, USA. gnanadesikan@emory.edu.
(2)Cognitive Science Program, University of Arizona, Tucson, AZ, 85721, USA. gnanadesikan@emory.edu.
(3)Department of Anthropology, Emory University, Atlanta, GA, 30332, USA. gnanadesikan@emory.edu.
(4)Department of Ecology and Evolutionary Biology, Princeton University, Princeton, NJ, 08544, USA.
(5)School of Anthropology, University of Arizona, Tucson, AZ, 85721, USA.
(6)Canine Companions for Independence, National Headquarters, Santa Rosa, CA, 95402, USA.
(7)College of Veterinary Medicine, University of Arizona, Oro Valley, AZ, 85737, USA.
(8)Department of Psychology, University of Arizona, Tucson, AZ, 85721, USA.
(9)Cognitive Science Program, University of Arizona, Tucson, AZ, 85721, USA.
Behav Genet. 2024 Mar;54(2):196-211. doi: 10.1007/s10519-023-10166-7. Epub 2023 Dec 13.

飼い犬のゲノムの淘汰に関する強い痕跡が第6染色体の5Mbに及ぶ領域で見つかった。この領域ではトランスポゾンによって引き起こされた4か所の構造的変異があり、この領域はヒトに向けた社会的行動、すなわち社会的刺激に対する注意バイアスや見知らぬ人に対する興味と関連していると言われてきた。我々はこれらの遺伝子型がより詳細な表現型とどのように関連しているか、さらには特定の目的に特化したプログラムにおける補助犬の訓練の成功に及ぼす役割を探索するために、Canine Companions for Independence(R)に参加している1001匹の補助犬の遺伝子型を調査した。これらの補助犬には訓練プログラムを成功裏に卒業したイヌだけではなく、補助犬としての目的にふさわしくない行動のために訓練プログラムを途中離脱したイヌも含まれる。パピーウォーカーへの質問状、訓練士への質問状、認知と行動の両面に関するテストを用いて両分類のイヌの表現型を収集した。ベイズ混合モデルを用いて分析したところ、遺伝子型と特定の行動の測定要素の間に強い相関(0を含まない95%信用区間)が認められた。これらの行動には、別離関連問題、課題への挑戦や矯正された場合の攻撃性、他のイヌへの反応などが含まれる。さらに、卒業したイヌと卒業できなかったイヌの間に遺伝子型の中程度の相関が発見された。GTF2I遺伝子への挿入が訓練の成功と強い相関(β=0.23, 95%信用区間=-?0.04, 0.49)があり、一か所の挿入に対してオッズ比1.25に相当する。この結果はイヌの社会性に対する4つのトランスポゾンそれぞれの役割に関する洞察を提供するとともに、訓練犬団体における繁殖や訓練を実施する際の示唆を含んでいる。さらに、今回観察されたGTF2I遺伝子の重要性が、GTF2I遺伝子の変異とその発現が社会的行動に重要な因果関係があるという幅広い共通認識が出現したことを示唆している。

訳者注:本論文と関連するイヌの遺伝子について書かれた資料は、ヒトのウィリアムズ症候群において機能を有する遺伝子の活動は、灰色オオカミのゲノムにみられる移動エレメントの挿入によって影響をうけているイヌの進化におけるヒトとイヌのコミュニケーションに関連する遺伝子の同定を参照

(2024年2月)



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