自閉症スペクトラム障害とウィリアムズ症候群における社会的スタイルの相互作用の際の視線回避



資料番号3-9-201「あなたを見つめる:ウィリアムズ症候群における対面覚醒と視線回避」や資料番号3-9-252「自閉症スペクトラム障害とウィリアムズ症候群における視線回避と認知負荷対応戦略」も参考にしてください。

(2012年11月)

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Gaze aversion during social style interactions in autism spectrum disorder and Williams syndrome.

Doherty-Sneddon G, Whittle L, Riby DM.
School of Life Sciences, Northumbria University, Newcastle upon Tyne, UK.
Res Dev Disabil. 2012 Oct 31;34(1):616-626. doi: 10.1016/j.ridd.2012.09.022.

面と向かった相互作用を行なう場合、正常に発達した個人は考えている間質問者から逃れるために視線回避を利用する。自閉症スペクトラム障害やウィリアムズ症候群の患者が質問・回答相互作用の場で考えている時にも視線回避を利用する面と向かった社会的スタイルの相互作用を、よく知っている対話者及び見知らぬ対話者と行う際の視線回避戦略を調査した。ウィリアムズ症候群や自閉症スペクトラム障害の被験者は、全被験者が考えたり思い出している場合(聞いたり話したりする場合と異なり)に視線をそらすのと同じ典型的な頻度やパターンを利用していた。しかし、差異がみられた2種類の障害もあった。ウィリアムズ症候群の被験者は考える場合と見知らぬ対話者と相互作用を行う場合には視線をそらすことが少ない、正常に発達した被験者とウィリアムズ症候群の被験者において親しみやすさは視線回避の減少と関連があるが、自閉症スペクトラム障害の場合はそのような差を示す証拠はない。我々は、視線回避は正常な発達の場合も、異常な発達の場合も、認知および相互作用の社会的負荷に対応するという観点では共通する機能であると結論付けた。自閉症スペクトラム障害とウィリアムズ症候群において親しみやすさの管理に関連する特殊な特質がある。すなわちウィリアムズ症候群における見知らぬ他人への社会性が上昇することと、自閉症スペクトラム障害における対話者との親しみやすさに差異がみられないことである。対話者との親しみやすさにかかわらず、視線回避は正常に発達したグループでも、正常ではない発達をしたグループでも考えることと関連している。社会的技能訓練の際にはこのことを考慮に入れる必要がある。


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