ウィリアムズ症候群に併発するキアリ奇形T型



Association of Chiari I Malformation in Williams syndrome

Nancy E. Lanphear MD
Cincinnati Center for Development Disorders
Children's Hospital Medical Center, Cincinnati Ohio (Lanpn0@CHMCC.org)
"Program and Abstracts" of 8th International Professional Conference On Williams Syndrome, Page 14

2才の男児のDMは1才の時に大動脈弁上狭窄の発見がきっかけとなりウィリアムズ症 候群と診断された。診断はFISHプローブで確認された。出生歴には、出生時体重が4ポン ド5オンス・摂食障害・斜視・新雑音・1才時点での発育不全が記録されている。1才6ヶ 月になって両親がウィリアムズ症候群クリニックに連れて行った。すべてのパラメータに おいてウィリアムズ症候群発達曲線の50%に位置する発達遅延と筋の低緊張と過興奮性が 見られた。初診の3ヶ月後に、頭をたたく(head banging)ことと平衡感覚を気にして再受 診した。滲出性中耳炎の再発が始まっていた。神経検査結果は上方バビンスキー試験 (upward Babinski)以外は前回と変わらなかった。家族歴には母方の叔父に後頭窩 (posterior fossa)腫瘍が見られる。MRI検査の結果、後頭窩構造に中程度過密とその周囲 で脳髄液流の減少が見らるキアリ奇形T型であることが判明した。睡眠検査(sleep test) 結果は正常だった。

この合併症について文献を調査した。“Williams Syndrome & Chiari Malfoprmation" あ るいは“Williams Syndrome & neurologic findings"というキーワードを使用した通常の Medline検索では少ししか文献が見つからなかった。それらの要約は個人的に取り寄せた。

ウィリアムズ症候群とキアリ奇形T型の併発は1989年Pediatrics誌に初めて記録さ れた。さらに詳細な記録は1992年のNeurology誌、1995年の Pediatric Neurology誌で発 表された。最近のポスター発表には、 ウィリアムズ症候群の患者51人中5人にキアリ奇形 T型が見つかっており、残りの患者の20%にも神経検査で疑わしき徴候が見られると記述さ れている。

ウィリアムズ症候群の患者に共通する神経症状としては、乳児期の筋低緊張・成人し てからの過緊張の進行・小頭症・発達遅延・学習障害・精神発達遅滞・深部腱反射異常・ 歩行異常が報告されている。さらにダウン症候群に比べて発生頻度が高い摂食障害も見ら れる。神経解剖学的研究によれば、大脳容積は減少し小脳容積は維持されていることが明 らかになっている。後頭窩構造を収める頭蓋内容積に関する矛盾する状況が発見されてい る。

今後検討すべき分野として、ウィリアムズ症候群の患者にキアリ奇形T型が併発する 発生率を正確に計算できる充分な症例が集められているか、ウィリアムズ症候群とキアリ 奇形T型を併せ持つ患者には独特の神経プロフィールあるいは神経発達プロフィールが存 在するか、この患者に対する資料方針としてどのような選択肢があるか、外科手術の術後 成果が一般人の患者と異なっているか、最後にウィリアムズ症候群とキアリ奇形T型を併 せ持つ患者の治療に向けたガイドラインやこれからの研究方針などがある。

(2001年4月)



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