心臓の病気・病態での突然死:ウィリアムズ症候群
大橋博文
埼玉県立小児医療センター遺伝科
日本臨床 2005 Jul;63(7):1185-9.
ウィリアムズ症候群は循環器系疾患(大動脈弁上狭窄、末梢性肺動脈狭窄)、顔貌異形症、成長/発達遅延を特徴とする形成異常症候群であり、エラスチン遺伝子を含む第7染色体の隣接遺伝子群の欠失が原因である。これまでにウィリアムズ症候群患者の突然死が25例以上報告されている。バードら(Bird, et al, 1996)が10例を報告しており、そのうちの6例は心カテーテルに関連している。ベッセルら(Wessel, et al, 2004)は突然死のリスクを1/1000患者年と推定した。突然死した患者から得られた臨床的・病因的要因によれば、冠動脈狭窄、心室肥大、心筋虚血がウィリアムズ症候群における突然死のリスク要因である。
(2005年7月)
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本文からの抜粋を追加。
(2005年8月)
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e.対策について
前述したように突然死のリスクファクターと考えられる冠動脈病変、心室負荷・肥大、心筋虚血所見の把握が大切である。特に実際の外来診療において、心筋虚血の存在を評価するうえでの心電図(負荷心電図、Holter心電図)の有用性は再認識する意義がある。SVASについては継続的にフォローが必要(特に圧較差が20mmHg以上の場合には増悪傾向がある)であり、圧較差が50mmHgを超えるようであれば狭窄解除術を考慮する。更に、循環動態が不安定な1歳未満では、心臓カテーテルあるいは全身麻酔を伴う手術(ソケイヘルニアなど)の施行にあたっては、より注意深い術前評価と対応がなされるべきであろう。
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