自立へ:グループホームに入る



紘輔が通勤寮に入寮してから2年が過ぎました。入寮以降の顛末は「自立への一歩:通勤寮に入る」「自立への一歩:通勤寮で暮らす」「自立への一歩:グループホームを探す」をご覧ください。

グループホームに入るにあたって、障害福祉サービスを受けますので、障害福祉サービス受給者証に記載される障害支援区分の認定をしてもらいました。本人は通勤寮のスタッフに同行してもらって市役所に行って面接をうけました。この区分の判定には医師の意見書も必用なので、普段からお世話になっている小児科の先生に書いてもらうように依頼しました。ちなみに、紘輔はまもなく30歳になりますが、15年以上前から循環器を診てもらっているこの先生(通院し始めたときは大学病院の小児循環器科におられました。その後小児科医院を開業されました。障害者年金の継続認定の際の診断書の作成でもお世話になっています)のところに今も通い続けています。受給者証の発行には時間がかかったので、グループホームに入る日までに入手はできませんでした。決定した障害支援区分は2でした。区分は1〜6まであり、2は支援の度合いが少ない方です。グループホームによっては、特定の区分以上を有していることを入所条件にしているところもあるようですが、今回入ることになったホームは「区分なし」でもよいとのことでした。

紘輔が通勤寮に入って丸2年が過ぎた6月2日の日曜日。ついに寮を出てグループホームに入る日が来ました。寮では、お金の使い方、年齢の異なる社会人との付き合い方、洗濯の仕方などを学ぶことができました。入寮当初はホームシックにもなったようですが、そこは、「人と関わることが好き」な性格ですので、寮のスタッフや寮生との交流を通して寮生活を楽しんだようです。いくつかのグループホームの見学を経て、気に入った今回のホームで一週間の体験滞在を行って、本人はこのホームに入ることを決めました。ホームの立地上、通勤はバスと鉄道をいくつか乗り継ぐことを除けば問題はありません。

当日の朝9時に迎えに行くと、既に自分で荷物をあらかたまとめて段ボールに入れてありました。昨日の夜、寮のスタッフから「整理するよう」に言われたそうです。その指示がなければ、親にやってもらおうと思っていたのでしょう。6畳くらいの二人部屋なので、荷物の量は多くはないと高をくくっていましたが、服と日用品が結構あって、ワゴンタイプの車の荷物室と後部座席の半分を使っても入りきらないほどでした。妻と紘輔は荷物を持ってシートに座らなければなりません。車に荷物を積み終わったら、退寮手続きです。預けてあった療育手帳や健康保険証、預金通帳、印鑑等の返却手続きののち、寮長(寮長の異動があり入寮時から人が変わりました)からの訓示を聞きました。寮を卒業はするけれど、これからはOBとして寮の行事に参加したり、遊びに来たりしてもよい。会社、グループホーム、自宅に加えて、社会的なつながりを持つ「場」としてこの通勤寮を考えなさい、と言ってもらえました。この言葉は本人もうれしかったようです。

仲の良い友達の寮生に見送られて、車で寮を後にしました。20分ほど走って、近くで昼食を取ってからグループホームに到着しました。荷物を部屋に運び込んで妻といっしょに整理を始めました。ホームの責任者のかたも、「荷物が多いね」とびっくりしたようです。一通り整理し終わってから、ホームとの契約手続きを行いました。通勤寮からもスタッフが二人来て、引継ぎをしてくれました。いろいろな書類や、お金、毎月の予算書、領収書(医療費など)、会社からの通知や給与明などがホーム側に引き渡されました。お金には、グループホームに最初に渡すための預け金が含まれていて、これはまだ寮にいる時点でスタッフが紘輔のお金から工面して準備してくれたものです。親はこれにはまったくかかわっていないため、「子どもが親の手元を離れた」という実感がして、ちょっと新鮮な驚きを感じました。

利用契約書の説明を受け、紘輔と私がサイン・捺印をして手続きは終了です。費用は部屋代が1.5万円(ただし、障害福祉サービスから1万円の補助が出るので契約上は2.5万円)、食費は朝夜2食で8百円、光熱費9千円程度、日用品2.5千円、施設費4千円で、1か月約5万円です。この金額なら障害者年金で賄えるので、仕事でもらう給料分は自分で好きに使えます。もちろん貯金はさせる前提で、お金の使い方は本人とホームの責任者のかたとで相談して決めることにしました。通勤寮でやっていた「一か月分の予算建て」と同じ方法です。なお、知人の御子息が入所しているグループホームは月に10万円かかると言っておられました。ホームによってかかる費用もずいぶん違っているようです。ホームの立地や建物・設備の状況、運営方針などで違うのでしょうね。事前にいろいろと比較しておくことが大事なようです。最後に近くのディスカウントストアでペットボトルのお茶の買い出しをして引っ越しは終わりました。すでに1週間の体験利用を済ませていたので、特に親としても本人としても心配事はありません。帰りぎわにあいさつした同じホームの先住者の青年もよい人のようで、これも安心材料です。通勤寮には寮生が30人くらいいたので気が合う友達もできて楽しく過ごせましたが、ホームで暮らす人数はすくなくて数人です。それでも自宅にいるよりは周りにいる人間の数は多いので、その中で楽しく過ごしてくれるだろうと心配半分・期待半分といったところです

(2019年6月作成。杉本雅彦)



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