ウィリアムズ症候群の子ども向けの健康管理



Health Care Supervision for Children With Williams Syndrome.

Morris CA(1), Braddock SR(2); COUNCIL ON GENETICS.
Collaborators: Chen E, Trotter TL, Berry SA, Burke LW, Geleske TA, Hamid R, Hopkin RJ, Introne WJ, Lyons MJ, Angela.
Author information:
(1)Department of Pediatrics, University of Nevada, Reno, Reno, Nevada; and cmorris@med.unr.edu.
(2)Division of Genetics and Genomic Medicine, Department of Pediatrics, School of Medicine, Saint Louis University, St Louis, Missouri.
Pediatrics. 2020 Jan 21. pii: e20193761. doi: 10.1542/peds.2019-3761. [Epub ahead of print]

この資料の原本は全米小児科学会のホームページに掲載されています。本文中で参照されている成長曲線などの図表は原本を参照してください。また、全米小児科学会から2001年にも同様の資料が出されています。こちらは年齢区分ごとに健康管理指針がまとめられています。資料番号3-1-06「Williams症候群児むけの健康管理(RE0034)」をご覧ください。

(2020年3月追記) (2020年2月追記) (2020年1月作成)



−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−
概要 【循環器】

【高カルシウム血症】

【消化器系】

【泌尿生殖器】

【神経・発達・認知・行動】

【視覚と聴覚】

【歯科】

【内分泌】

【かかりつけ医と移行】



表1:臓器・年齢別のウィリアムズ症候群における医学的症状

臓器症状発生率発生年代
眼と視力共働性内斜視50%幼児  
遠視50% 小児成人
聴覚慢性中耳炎50%幼児小児 
聴覚過敏90%幼児小児成人
進行性感音性難聴65% 小児成人
不正咬合85% 小児成人
矮小歯95% 小児成人
循環器異常(合計)80%幼児小児成人
大動脈弁上狭窄(SVAS)75%幼児小児成人
肺動脈弁上狭窄 (SVPS)25%幼児小児成人
肺動脈末端狭窄(PPS)50%幼児  
その他動脈狭窄20% 小児成人
心室中隔欠損(VSD)10%幼児  
高血圧50% 小児成人
QT延長症候群13% 小児成人
泌尿器器質的異常5%幼児小児成人
遺尿症50% 小児 
腎石灰症5%未満幼児 成人
膀胱憩室症50% 小児成人
胃腸摂食障害70%幼児小児 
便秘50%幼児小児成人
大腸憩室30% 小児成人
直腸脱15%幼児小児 
皮膚弛緩 (Soft Lax) 皮膚90%幼児小児成人
そけいヘルニア40%幼児  
臍ヘルニア50%幼児  
早期白髪90%  成人
筋・骨格関節過可動90%幼児小児 
関節拘縮50%幼児小児成人
とう骨尺骨融合20%幼児小児成人
脊柱後彎20%  成人
脊柱側彎18% 小児成人
脊柱前彎40% 小児成人
歩行不良60% 小児成人
カルシウム高カルシウム血症15%−40%幼児 成人
高カルシウム尿症30%幼児小児成人
内分泌甲状腺機能減退5%−10%幼児小児成人
思春期早発
(真性の思春期早発症であることは稀)
20% 小児 
糖尿病15%  成人
肥満30% 小児成人
神経過剰深部腱反射75% 小児成人
キアリT型奇形10%幼児小児成人
中心性低緊張80%幼児小児 
末梢性筋緊張亢進50% 小児成人
認知発達遅延95%幼児小児 
知的障害75% 小児成人
正常域知的機能5% 小児成人
視空間構造認知障害95% 小児成人
行動注意欠陥/多動障害65% 小児 
不安症(特定恐怖症、一般)70% 小児成人
睡眠障害65% 小児成人


表3:ウィリアムズ症候群向けの治療予測ガイドライン

選択肢 診断時点 0〜12カ月 1〜5歳 6〜12歳 13〜18歳成人
健康維持のための身体検査診察毎 診察毎 毎年 毎年 毎年
  かかりつけ医の設定
  ウィリアムズ症候群成長曲線図に記入 診察毎 診察毎 診察毎 診察毎 体重の経過観察
  血圧測定(両腕)、心雑音や血管雑音の聴診、心拍のチェック 診察毎 診察毎 診察毎 診察毎 診察毎
  鼠経ヘルニアの検査 診察毎 毎年 毎年 毎年 毎年
  神経疾患の検査(筋緊張低下、亢進、小脳の徴候)診察毎 毎年 毎年 毎年 毎年
  筋骨格障害のスクリーニング関節弛緩症、関節拘縮、脊柱後弯、脊柱側弯、脊柱前弯) 毎年 毎年 毎年 毎年 毎年
診断と可能性がある合併症のレビュー必要なら 必要なら 必要なら 必要なら 必要なら
  摂食問題と栄養に関する考察 必要なら 必要なら 必要なら 必要なら
  高カルシウム血症の徴候に関する助言:ビタミンDを含むマルチビタミン剤の摂取回避とカルシウムの1日摂取量の参照 必要なら 必要なら
  便秘の積極的治療に関する考察 毎年 毎年 毎年 毎年
  関節可動域拡張運動を日々行うことのアドバイス 毎年 毎年 毎年 毎年
  睡眠障害の調査毎年 毎年 毎年 毎年
  手術前の小児麻酔に関する助言
  サポートグループに関する情報提供 必要なら 必要なら 必要なら 必要なら 必要なら
視覚
  斜視、屈折異常、白内障(成人)に関する視覚スクリーニング毎年 毎年 毎年 毎年 毎年
  眼科検査 必要なら 必要なら 必要なら 必要なら毎年
聴覚
  聴力検査 毎年 毎年 毎年 毎年 毎年
  聴覚過敏に関する助言 必要なら 必要なら 必要なら 必要なら 必要なら
歯科
  歯牙清掃 6カ月毎 6カ月毎 4カ月毎 4カ月毎
  不正咬合に関する歯科矯正受診
カルシウム
  血清中カルシウム濃度 4カ月毎 2歳まで4-6カ月毎、その後2年毎 2年毎 2年毎 2年毎
  ランダム尿サンプル中の尿中カルシウム/クレアチニン比必要なら 必要なら 必要なら 必要なら 必要なら
循環器
   3四肢の血圧とドップラー血流検査を含む心エコーからなる小児循環器検査、重度のSVAS、大腿動脈脈の消失、血管雑音、あるいは長い大動脈狭窄部を疑うなどを併発する場合は追加で画像診断(CT、核磁気共鳴血管撮影(MRA)、心カテーテル)を検討 3カ月毎 毎年2年毎 2年毎 2年毎
  心電図 毎年 毎年 毎年 毎年 毎年
泌尿生殖器
   形成異常、腎石灰化、憩室症を検査するための腎臓のドップラー超音波検査と膀胱の超音波検査 10年毎 10年毎 10年毎
  血清尿素窒素、クレアチニン 必要なら 必要なら 必要なら 必要なら 必要なら
  尿検査毎年 毎年 毎年 毎年 毎年
  慢性の高カルシウム血症や高カルシウム尿症や腎石灰化がある場合、小児腎臓病専門や内分泌専門医を受診 必要なら 必要なら 必要なら 必要なら
内分泌
  甲状腺機能検査毎年 3歳まで毎年 2年毎 2年毎 2年毎
  思春期早発症の治療検討 必要なら
  経口糖負荷試験が異常ならば空腹時糖レベルの経過観察 毎年 毎年
発達と認知
  集学的発達検査 毎年 毎年
  神経心理学的検査 3年毎 3年毎 必要なら
  療育(音声や言語療法、理学や作業療法)、乗馬療法の検討
  必要に応じて食事療法 必要なら 必要なら
  早期療育プログラムの検討
  特別支援教育の検討
行動
  行動評価(注意、不安、適応能力) 毎年 毎年 毎年 毎年
  応用行動分析に基づく行動的介入の検討必要なら 必要なら
  精神的健康問題(ADHD、不安症、うつ)に対する治療 必要なら 必要なら 必要なら 必要なら
  社会的技能訓練
遺伝相談
  医学的遺伝子検査 必要なら必要なら 必要なら 必要なら 必要なら
  家族に対する遺伝相談
  本人に対する遺伝相談
移行
  職業訓練


目次に戻る